- いつ植える? 寒くなる前に根を張らせます
- どんな苗を選ぶ? 見るのは葉ではなくクラウン
- 植える深さは? クラウンが土の上に出る浅植えに
- 元肥はいつ入れる? 植え付けの2週間前までに
- マルチはいつ張る? 冬を越した2月下旬に
イチゴの植え付けの時期です。中間地(関東から中国・四国の平地)なら、10月中旬から11月上旬が目安です。
イチゴは植え付けから収穫まで半年以上かかります。春にどれだけとれるかは、いま植えるときの1cmほどの深さの違いで変わります。
いちばん大事なのは植える深さで、クラウンを土の上に出す浅植えが基本です。この記事では、深さを中心に、苗の選び方、ランナーの切り跡の向き、有機での元肥と追肥、冬が明けてからのマルチの張り方まで順に見ていきます。
いつ植える? 寒くなる前に根を張らせます
中間地の植え付けどきは、10月中旬から11月上旬です。寒い地域ほど早めに植え、暖かい地域なら11月中旬まで植えられます。
時期を決めるのは、冬までに根を張らせられるかどうかです。植えた苗が新しい根を伸ばして土に根付く(活着する)までには、しばらくかかります。気温が下がりきる前に活着させておくと、株が冬を越しやすく、春の立ち上がりも早くなります。
植え付けが遅れると、根が張りきらないまま冬に入ります。株が小さいまま春を迎えるので、花も実も少なくなります。
どんな苗を選ぶ? 見るのは葉ではなくクラウン
苗は、葉の立派さではなく、株の中心にあるクラウンで選びます。クラウンが太く、がっしりしている苗が良い苗です。
クラウンというのは、葉の付け根にある、少し太くなった株の中心部です。新しい葉も、春に咲く花も、ここから出てきます。葉が立派でもクラウンが細い苗は、春の花が少なくなりがちです。
目安は、クラウンの太さが1cmほどあり、本葉が4〜5枚ついた苗です。葉の色が濃く、病気の斑点や虫の跡がないものを選んでください。苗を買うときも、自分でランナーから採った苗を使うときも、見るところは同じです。
親株から伸びたランナーの子苗を使う場合は、9cmのポットで受けてから植え付けられる大きさに育つまで40〜60日かかります。ポットの中に根が回ったら、親株からのランナーを切り離します。秋に植えるなら、夏のうちにポットで受けておきます。
種から育てることもできますが、実をつけられる大きさの株になるまでに時間がかかります。秋に植えて翌春に収穫するなら、苗から始めるのが確実です。
植える深さは? クラウンが土の上に出る浅植えに
Sofarm がすすめるのは、クラウンが土の上に出る浅植えです。根は土の中に収めて、クラウンは埋めません。
目安は、ポットから抜いた根鉢(根と土のかたまり)の上面が、畝の表面と同じ高さになる深さです。このとき、クラウンの付け根が土の上に見えていれば、ちょうどいい深さです。
クラウンを埋めないのは、ここが新しい葉と花の出てくる場所だからです。土に埋まると芽が出にくくなり、湿気がこもって腐ることもあります。
反対に、浅すぎて根が土の上に出ると、根が乾いて傷みます。冬に霜柱が立つと、根の浅い株は持ち上げられて浮いてしまいます。根は隠れて、クラウンは出ている。この高さをねらいます。


植えたあとは、たっぷり水をやります。水で土が沈んでクラウンに土がかぶることがあるので、水やりのあとにもう一度株元を見て、かぶった土を指で払っておきます。根が見えてしまったところには、土を足してください。
株間は30〜35cm。幅60cmの畝に、2列で植えるのが目安です。
ランナーの切り跡は、畝の内側に向ける
植えるときは、苗の向きにも気をつけます。
苗には、親株とつながっていたランナーの切り跡が残っています。イチゴの花房(花のつく茎)は、この切り跡の反対側に出てきます。 切り跡を畝の内側(通路の反対)に向けて植えると、実が通路側にそろってぶら下がり、収穫しやすくなります。

買ってきた苗にも切り跡は残っているので、植える前に切り跡の位置を見ておきます。地味ですが、半年後に効いてきます。
元肥はいつ入れる? 植え付けの2週間前までに
イチゴの根は肥料やけしやすいので、元肥は植え付けの2週間前までに入れ終えておきます。植える直前に入れると、肥料が根に直接触れて傷みます。
イチゴは弱酸性の土を好み、酸度はpH5.5〜6.5が目安です。
Sofarm は化学肥料を使わないので、完熟堆肥と有機質肥料で組み立てます。イチゴは植えてから収穫まで半年と長いので、ゆっくり長く効く有機質肥料と相性のいい野菜です。1㎡あたりの元肥は、このくらいです。
- 苦土石灰 100g(土が酸性に傾いているとき。前作で石灰を入れた畑なら減らします)
- 完熟堆肥 2〜3kg
- 油かすやぼかし肥などの有機質肥料 100g
苦土石灰は、堆肥や肥料よりさらに1週間ほど早く入れて、土になじませておきます。
秋は窒素を効かせすぎない
ひとつ気をつけたいのが、窒素の量です。イチゴは、株の中の窒素が少なめのときに花芽をつけます。最初の花房の花芽は9月下旬から10月上旬にでき、植え付けたあとも次の花房の花芽づくりが続きます。この時期に窒素が効きすぎると、葉ばかり茂って春の花が少なくなります。元肥の有機質肥料は、上の量より増やさないでください。
追肥は植え付けの1か月後と2月の2回
追肥は2回です。1回目は植え付けの1か月後、2回目は翌年の2月中旬から下旬に入れます。
量は、どちらも1㎡あたり有機質肥料100gほど。株元から10〜15cm離してまき、軽く土と混ぜます。肥料が根や葉に直接触れないようにするためです。2回目の追肥は、マルチを張る前に済ませておきます。
マルチはいつ張る? 冬を越した2月下旬に
黒マルチは、冬を越してから2月下旬に張ります。新しい葉が立ち上がり始めたころが合図です。暖かい地域なら2月中旬、寒い地域なら3月上旬にずらします。
冬のあいだ張らずにおくのは、一季成り(春に一度だけ実をつけるタイプ。秋に出回る苗の多くがこれです)のイチゴが、冬の寒さにしっかり当たることで休眠から覚め、春に勢いよく育ち始めるからです。早く張って地温を上げると、寒さに当たる時間が足りなくなります。春の立ち上がりに合わせてマルチで地温を上げます。
張るときは、先に枯れた葉や傷んだ葉を取り除いておきます。株の上からマルチをかぶせ、株の位置に穴を開けて葉を引き出してください。
マルチには、実の泥はねを防ぐ役目もあります。実が土に触れると、汚れたり傷んだりしやすくなるからです。遅くとも花が咲き始める前には張り終えます。マルチの代わりに敷きわらを使っても、泥はねを防ぐ役目は同じです。
収穫までに気をつける病害虫は?
イチゴは収穫まで長いぶん、病気と虫に繰り返しさらされます。
うどんこ病と灰色かび病は、どちらも20℃前後で出やすくなります。春に花が咲いて実が熟すころの気温と、ちょうど重なります。有機で防ぐなら、枯れた下葉をこまめにかき取り、風通しと水はけをよくして湿気をためないことです。発病した葉や実は、すぐ取り除いて畑の外へ持ち出します。気温が上がる春は一気に広がるので、こまめな見回りが何よりの対策です。
ハダニは、高温で乾燥すると増えます。葉に小さな白い斑点が点々と出てきたら、葉裏を見てください。葉裏に水をかけて洗い流し、被害の出た下葉を切り取ります。天敵のミヤコカブリダニやチリカブリダニを放す方法もありますが、効き始めるまでに時間がかかるので、ハダニが少ないうちに放しておきます。
畝のまわりや通路の草は、地面が見えるほどには刈り込まないでおきます。ハダニを食べるダニヒメテントウやカブリダニの仲間のすみかになるからです。家庭菜園では、株間にニンニクやネギを植えて、そのにおいでアブラムシを遠ざける方法もよく使われます。
炭疽病と萎黄病は、苗を育てる5〜9月に出やすい病気です。どちらも、一度かかった株は元に戻りません。症状が出た株は抜き取って、畑の外で処分します。防ぐいちばんの手は、病気のない健全な苗を使うことです。自分で苗を採るなら、親株は2〜3年で新しくし、同じ場所でイチゴを作るのは2〜3年あけます。苗を育てる夏のあいだは、雨に当てず、泥はねを避けてください。
植えてから収穫まで半年あります。露地なら、実が赤く色づくのは翌年の5月ごろです。植え付けで深さと向きさえ押さえておけば、冬のあいだは追肥と枯れ葉の掃除くらい。春にマルチを張って、花が咲くのを楽しみに待ちましょう。